安彦良和、といえば、わたしにとってはガンダムなどのキャラクターデザインで知られるアニメーターなのですが、今ではむしろ実力派の漫画家としてその名を知られていますよね。
安彦さんが最初に書いた長編漫画が「アリオン」で、後にご本人の手でアニメ映画化されます。
舞台はギリシャ神話の時代、海神ポセイドンと女神デメテルの子として生まれた少年アリオンが、運命に翻弄されながらも、少女レスフィーナとともに宿敵アポロンと戦う、ヒロイックファンタジー。
…と書くと、ＲＰＧのような話かと思われそうですが、あの安彦さんがそんな単純なものをかくわけないじゃないですか。
もともとギリシャ神話というのは、人間くさくてドロドロしてますが、この「アリオン」に登場する神々も、いわゆる絶対的な神ではなく、まだ神と人間との境がはっきりしない、種族としての神、のような描かれ方がされています。
アリオンには、実はもっと複雑な出生の秘密があるのですが、それは作品の中で語られますので、読んでのお楽しみ。
ちなみに、アリオンというキャラクターは、実際の神話では人間（？）としては出てきません…。呉茂一さんという方の書かれた「ギリシャ神話（上・下）」の中で、ポセイドンとデメテルの間に生まれた、アリーオーンという駿馬として登場しています。安彦さんが、これを借りたようです。
そうそう、なにかの漫画か雑誌で、安彦さんは、馬の絵ならどの角度からでも資料なしで書ける、と読んだことがあります。すごいです。そして彼の、特に初期の作品を見ると、コマ割りのしかたに、やっぱりアニメーターをされていた方だなー、と思うところがあります。デッサンは完璧だし、とにかく絵のうまさは抜群です。
トルコ周辺に住む先住民族クルド族を題材にした作品です。（彼らをテーマにした作品なんて、これぐらいでは…？）
クルド族の女性と、日本人の学者の間に生まれた少年、ジローが、行方不明の母からきた突然の手紙でトルコに行き、そこでクルド族の独立運動に巻き込まれます。同じく行方のわからない父や母の手がかりを求めるうち、彼は人類の祖先の大きな謎にぶつかることに…。
実はちょっとＳＦっぽい作品だったりするのですが、アリオンの系統に属する、少年の冒険、旅立ちをテーマにした作品だとおもいます。
普通の単行本で全3巻ですので、さらっと読めます。古本屋で安く手に入りますから、ひまつぶしにいいでしょう。
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そのほかにも安彦良和の作品はたくさんあります。上記2作品と大体同じ頃の作品で、「ヴィナス戦記」（これも映画化されましたが、あまりぱっとしませんでした…）というのがあります。単行本は全4巻。舞台は、人が住めるようになった近未来の金星ですが、2巻づつで主人公がまったく違います。
他に「ナムジ」「虹色のトロツキー」「ジャンヌ」など、歴史もの、大河ものを得意とされていますので、興味のある方はどうぞ。すみません、わたしはほとんど読んでないので、解説はできませんが…(最近「イエス」というキリストを題材にしたフルカラー（！）のを立ち読みしました。結構面白かった。）
2001年7月に創刊されたガンダム専門雑誌（！）、「ガンダムエース」で、最初の機動戦士ガンダム（通称ファーストガンダム）をコミック化した「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」を連載開始されました。TVシリーズの設定やストーリーはほぼそのままに、メカニックデザインなどをブラッシュアップした作品です。かなりいい出来だと思いますので、ファンの方、またファン以外の方にもおすすめです。
私が解説するような作品じゃ、ありませんが…。
無免許の天才外科医、ブラックジャックの活躍を描く、というこの漫画、たぶん最近ファンになった方と同様、秋田文庫で文庫版が出てからファンになったクチです。ブラックジャックがかっこよすぎて…(^.^)
と、同時に、これは手塚治虫でないとかけない作品だったかも、とも思います。
これを読むまで、手塚さんが医学博士号を持ってるって知りませんでした。やはり、知識のある人がかくのとそうでないのとでは、説得力が違いますよね。（もっとも、作品中には、実在しない病気も多々出てくるわけですが。）
兵庫県の宝塚市にある手塚治虫記念館にも行きました。宝塚に来ることがあったら、ぜひ行ってみてください。常設展示では手塚さんの小学・中学時代の絵なども展示されていますが、…やっぱり、うまいです。
漫画も自由に閲覧できますので、これで入場料500円は安いぜ！ってお得な気分になります。
どうでもいいけど、MS-IMEには「おさむ」でちゃんと「治虫」の変換候補がありますね。
すごいぞ、さすが漫画の神様。
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